普段から歯の検診を受けに行く意識改革が必要です
日本は「予防歯科」の分野で遅れていると言われています。
予防歯科先進国とはどんな国でしょうか?
「キシリトールの故郷だからフィンランド!」と言う方、鋭いです!!
確かにフィンランドの子どもはいつもキシリトールガムを噛んでいるので、虫歯が少ないと聞きますね。
フィンランドもかなりの予防歯科先進国なのですが、ここではスウェーデンを取り上げます。
国によって歯科治療にかかる費用が大きく異なる
日本は先進国ですし、歯科治療も最先端のものが受けられますので、世界的に言えば、国民の歯の健康状態は平均より上にあります。
しかも日本は歯科治療にも国民健康保険が効きますので治療費も安価です。日本と同じように歯科治療にも国民健康保険が効く国は、イギリス、フランスなどです。
アメリカでは国民健康保険自体がないため、個人で歯科治療するのは大変高額です。職場によっては健康保険組合によって治療費がある程度保障されますし、任意でデンタル保険に入ってある程度カバーします。
他の先進国の中では国民健康保険はあるものの、歯科治療に国民健康保険が効かないため歯科治療費が高額になる国もあります。スペイン、カナダ、韓国はそのような制度の国です。
歯科治療が高額な国は、予防歯科が盛んです。日本の場合治療費が安いため、どうしても「痛くなってから歯医者に行く」という傾向があります。
予防歯科に力を入れるスウェーデン
スウェーデンの場合、19歳までは歯科治療は無料、矯正歯科さえも無料という、歯科治療天国のような国です。無料だからこそ医療費を少しでも下げるために予防歯科に力を入れているのです。こうした取り組みは1970年代から始められ、40年経った現在、成果を生んでいます。
日本とスウェーデンの違いは次の数字から明らかです。
平均虫歯本数:日本 9.5本、スウェーデン 3.6本
歯周病にかかっている人の割合:日本 80%、スウェーデン 20%
80歳の残存する歯の数:日本 7本、スウェーデン 20本
日本では80歳以上の60%が総入れ歯を着用しています。
この数字の違いは何でしょうか?
日本は予防歯科の意識が低い
「予防歯科」の違いです。
日本は長寿大国ですが、同時に「歯無し大国、寝たきり大国」です。歯を失うことが認知症、寝たきりを招いているのです。
スウェーデンではPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)、つまり歯科医による歯のクリーニングがほぼ国民全体に普及しています。
日本では歯医者さんのイメージが怖いと思っている人は15%ですが、スウェーデンはわずか3%です。検診のために定期的に訪れるため、歯医者さんは怖いところというよりも楽しいところとなっています。
定期的に若い頃から検診を受けていれば80歳までに20本以上の歯を残せるのに対し、痛くなってから対応するというケースでは80歳までにほとんど歯が残っていなかった、というデータがあります。
予防歯科大国スウェーデンと日本の違いは歯ブラシにもあります。
スウェーデンでは「ワンタフト歯ブラシ」がメインで使われます。ワンタフト歯ブラシを使うと、プラークの除去率が格段に向上します。
日本はPMTCに保険が効く国ですので、定期的な歯科検診は容易なはずです。
ですから大切なのは、歯医者さんは歯が痛いから行くところではなく、検診を受けに行くという意識の改革です。